コシアブラの受難
里山から高山まで、山は今、食べ物であふれています。植物の新芽は昔から山菜としての利用が広く行われていました。ネットの普及で限られた地域でのみでしか利用されなかった物も、今は全国区です。このコシアブラも今は人気の山菜になりました。
このような物の収穫には一応マナーがあってSDGsというほど大げさなものではなくとも木に与えるダメージを最小限にして継続的に利用するというスタンスでした。しかし多くの人が通る登山道の脇となると厳しい現実に直面します。
最初に通りかかった人が「私は持続可能な開発目標を意識して何個かある新芽のうち最小限必要な分だけ採ろう。」などと考えて行動して、また次に来た人も同様にしたとしても、何人もの人が同じようなことをするので結局コシアブラの木は丸裸です。
しかしこの木は割とタフなので取られた芽の脇から小さめの新しい芽が出てきます。しかし美味しい山菜なのでこれも狙われます。二番芽も取られ木が丸裸になっても完全に枯れることはめったにありません。
もし木は枯れても根はなんとか生き延びて新しい芽をだしてきます。山菜シーズンを何とかしのぐとやがて地味な花をつけ種を作り、秋の薄く黄緑に色づいた透明感がある葉はなんとも言えません。